依存症家族が受診したときに、精神科医は労いの言葉をかけるべきか

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否定しなければいけないとき(一般診療科の場合)

そうはいっても、明らかに患者さんの言っていることが違う場合はどう対応したらいいでしょうか?

例えば、「家で血圧を測ったら高かった。そういえば動悸がするような感じもする。心筋梗塞が心配で来た。」という患者さんがいるとしましょう。

医師からしたら、さすがに、「その通りです。私も心筋梗塞だと思います。」とはなりません。

心筋梗塞の症状は胸の締め付けられる痛みであり、血圧は上がらないし、動悸も出ません。

じゃあ、どうやって否定するかというと、先ほどの症状の説明をして患者さんの解釈を否定します。血液検査で心臓の筋肉が壊れていないかどうか判断したり、心電図で異常がないかどうかチェックする医師もいるでしょう。

なにはともあれ、患者さんの言っていることが違う場合は説明するか検査するかして否定しなければいけません。

否定しなければいけないとき(精神科の場合)

精神科は患者さんの解釈をダイレクトに否定しなければいけない診療科だと思っています。そもそも、解釈が間違っていなくて、辛さも何もないのであれば精神科なんて受診しません。

辛いから受診している人に、「そうですね」「それは大変ですね」「誰にでもそういうことはありますよ」という傾聴→受容→共感をしているだけでは、患者さんとの信頼関係は構築できるかもしれませんが、辛さの原因・核心に迫ることができません。精神科医としての役割を果たせていないといってもいいでしょう。

逆に、辛いと言っている人に「この考え方をもっているから辛いんじゃないですか?」「こう考えてみたらどうですか?」という解釈の変更を迫れば、その人を楽な考え方に誘導できるかもしれません。しかし、デメリットとしては、話を聞いて欲しいと思って来ている人には「この先生は話を聞いてくれない」と不評でしょうし、いきなり自分の考えを否定されたわけですから、「この先生嫌い」となってしまいかねません。