「性依存」というのは実は俗語で正式名称ではありません。
正式には「強迫的性行動症」と「パラフィリア障害」となります。
※WHO(世界保健機関)による国際疾病分類第11版(ICD-11)
「強迫的性行動症」と「パラフィリア障害」について、順番に説明していきます。
強迫的性行動症
強迫的性行動症は
- 過度の風俗通い
- マスターベーション・アダルトサイトの閲覧
- 多数の性的パートナーをもつこと
などが該当します。
非合法な行為ではなく、どこからが病気でどこまでならセーフなのか、線引きは難しいと言えましょう。
診断のためのポイントは、
- コントロールできているか
- 苦痛・罪悪感を感じているか
- 生活に支障があるか
などがあげられます。
風俗通いで借金ができている、妻や彼女に罪悪感がある、人間関係で支障が出ている場合は強迫的性行動症の可能性が高いでしょう。
しかし、その人の属する文化や背景によっては一概に決めつけることはできません。医師による慎重な判断が必要です。
補足
ICD-11で定められた強迫的性行動症の診断基準には大きく6項目あります。
私は4番がポイントだと思います。
- 強烈かつ反復的な性的衝動または渇望の抑制の失敗
- 反復的な性行動が生活の中心となり、他の関心、活動、責任が疎かになる
- 性行動の反復を減らす努力が度々失敗に終わっている
- 望ましくない結果が生じているにもかかわらず、またそこから満足が得られていないにも関わらず、性行動を継続している
- この状態が、少なくとも6か月以上の期間にわたって継続している
- 重大な苦悩、及び個人、家族、社会、教育、職業、及び他の重要な領域での機能に重大な問題が生じている
パラフィリア障害
パラフィリア障害とは性嗜好に偏りのある状態を指します。
特殊な
- 物(ハイヒールなど)
- 状況(痴漢、盗撮など)
- 対象(小児,死体,動物など)
に対して性的興奮がみられます。
パラフィリア障害の診断は、それが性犯罪であるかどうかに焦点が当てられています。
つまり、小児性愛、窃視症、露出症、窃触症、性的サディズム(同意してない相手に対して)では行動に移せば、それぞれ精神疾患として診断が下されます。
一方で、フェティシズム、性的マゾヒズムなどでは、たとえ行動に移しても、本人に苦悩や障害がなく、性犯罪でない限りは精神疾患とはみなされれません。
代表的なパラフィリア障害に関しては、下記リンクを参照ください。クリックするとリンクに飛びます。
まとめ
性依存症の定義についてまとめると、冒頭に示した図の通りとなります。
依存症は問題の性質上、いろいろな側面から議論することができると思います。
今日は主に診断名としての分類についてでした。
また、別の機会で、様々な側面から依存症について書いていきたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!