定義
フェティシズムは、ビネーの命名による。
異性の存在全体ではなく、
- 肉体の一部(毛髪、足、乳房、尻など)
- 異性が身につけるもの(下着、靴下、靴、ストッキングなど)
- 異性の象徴となるような非生命的な物品(毛皮、皮革製品など)
の獲得・所有・接触・空想などが、通常の性行為以上の性的な興奮を引き起こす場合をいう。
フェティシズムの対象となるモノをフェティッシュという。
類型
フェティシズムには様々な類型がある。
- フェティッシュで完全に満足が得られる場合(たとえば、ハイヒールにペニスを擦りつけて射精する場合)
- フェティッシュの存在を介してのみ性行為が可能となる場合(たとえば黒いストッキングを履いている女性とのみ性行為ができる場合)
- フェティッシュの空想によって興奮が起こり、その獲得に脅迫的に駆り立てられてしまう場合(例えば路上で女性の履いているハイヒールを奪う場合、他には下着泥棒もある)
- 服装倒錯・異性装(男性が女装したりその逆など)に合併した場合(セーラー服などの異性の衣類)
- サディズム・マゾキズムに合併した場合(手錠、縄、鎖、排泄物など)
数として多いのが、男性が女性の下着を欲する場合である。下着泥棒をして、それを用いて自慰を行うという報告が多い。
心理
フェティシズムにおいては、性の対象は異性の存在全体ではなく、その肉体の一部であったり、身につけているモノだったりする。その背景には、彼らは人間関係の構築や、二者関係の障害があり、対人関係を避ける傾向があると言われている。
フェティシズムの形成に関しては様々な学説があるが、ここでは2点紹介したい。
学習心理学的な理論では、幼児期の性的興奮や愛情体験に際して、強烈な印象をあたえたモノがフェティッシュとなるとしている。いわゆる古典的条件付け理論である。
精神力学的な解釈では、自分の性的な欲求や愛情欲求に不安や罪悪感を抱いている子供が、人間とは分離した存在であるモノに性的・愛情的な関係を持つことによって不安や罪悪感を回避しようとしている、としている。
いずれにせよ、フェティシズムでは、モノにこだわるようでありながら、実際には想像力が大きな役割を演じている。
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