スリップという言葉に隠された逃げの心理

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名詞というのは、責任の所在をそこに一気に持っていける逃避対象だ。

例えば、何かの症状が出ているときに、医者に診せて、「ああこれは『○○病』ですね」と言われたら安心するだろう。これは、『○○病』という病気だったのかと。症状の理由が一気に『○○病』という診断名に帰着される。

このように、症状のような、ふわふわとした実態のない概念に名前がつくと人間は安心する。責任の所在がない状況に名前がつくとそれが原因だとはっきりするから安心する。つまり、名詞を用いることで、現実から逃避したり、問題に直面するのを避けることができる。これを名詞化という。

先ほどの例で言えば、『○○病』という名詞は実際には悪さをしていない。実際に起こっていることは、病原菌が悪さをしていたり、炎症があったりということだ。しかし、医者は詳しい説明は端折って、『○○病』という言葉を紹介して、全部これのせいなんですよと名詞のせいにしてしまったのだ。そうすれば、問題に直面するのを避けることができる。

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