私は最近思うのですが、「行動」というのは、本当になんとなく始まってしまったり続けてしまうものだなと思います。
お菓子を食べていて、文字通りあっという間になくなってしまうことがあります。
全然味わっていない、と感じることもあります。
「無意識に食べていた」なんて言われることもありますが、実際その通りで、何にも意識していなくても次々とお菓子を口の中に放り込んでいることがあります。
ほかにも、貧乏ゆすりとか、腕を組むとか、足を組むとか、何も考えずにやっている行動(動作といったほうが良いかもしれませんが)が私たちにはたくさんあると思うのです。
そして、問題行動も、こういった「無意識に」始まってしまう行動の一つだと思うのです。
気を付けて生活していても、どうしても急性トリガーとして、なんらかの刺激が私たちを襲うことがあるでしょう。
そんな時は、「無意識に」動作が始まってしまうように私は感じます。
それもそのはずで、よく考えていては、問題行動なんて逮捕されるなどのデメリットが多いですし、後悔や罪悪感も伴います。
まともな脳の状態では絶対にやらないのが問題行動なのです。
だから、気が付いたら問題行動に着手していた、というケースが多いのではないでしょうか?
しかし、動作が始まってしまえば、目的が頭に表れて、算段を立てます。
- このまま尾行していけば、あそこで盗撮できそうだ。この角度で盗撮しよう。今のうちにスマホをカメラモードにしよう。
- このまま車両に乗り込んで、ターゲットの後ろに立とう。最初はカバンを押し当てて反応を見てから、自分の手の甲を押し付けよう。
などと、具体的な計画は立てると思います。
その計画中は、正常な脳みそではなくて、「バカ」になっています。
前頭葉の血流が落ちるといわれますが、私の場合は、心臓の鼓動が大きくなり、脳全体が熱くなります。とてつもない高揚感・万能感があります。
逮捕される可能性があるとか、あとで後悔するだろうとか、そんなまじめなことは一切考えられない状況になってしまいます。
依存症治療は、一つが行動療法といって、こういった危険な局面を避けるというものです。
ある時間帯には外出しないとか、どこどこにはいかないとか、満員電車避けるとか、スマホのカメラを壊すとか、そういうルールを作って守るというのが行動療法です。
しかし、そんな中で、刺激に出くわしてしまったら、先ほどの話の通り、脳が馬鹿になってしまい、問題行動まっしぐらです。気がついたら、半ば自動的に計画を立てているし、精神的に非常に高ぶった状態なので、各種デメリットのことは考えられません。
そして、刺激に出くわす、と書きましたが、依存症の人は「刺激を探す」のです。
キョロキョロと、自分から探しています。
「スリップしたくなくて、スリップしたい病気」なので、それは仕方のないことだと思います。
ルール内で何とかスリップしようとしている、というのが依存症治療に取り組んでいる人の「調子が悪い状態」だと思います。
(最悪な状態は、「人生一度きりだからやっちまおう」という自暴自棄)
その、調子が悪いときに、私が実践している(しようとしている)のは、タイトルにも書きましたが、
問題行動の目的は何?
という自問自答です。
相手を妊娠させたいのか?→違う。妊娠など望んでいない。
ペニスを相手の膣に挿入したいのか→違う。そこまでの粘膜の接触は求めていない。
射精したいのか?→違う。射精したいとは思わない。
裸が見たいのか?→違う。そんなものネットに転がっているではないか。
下着が見たいのか?そうかもしれないが、そんな布に人生を翻弄されてどうする。それに、見れたところで、幸福とは呼べないだろう。
などと、性欲についての検討をします。脳内で会議するイメージです。
すると、結局はドーパミンが欲しいんじゃないか、と納得したり、
どうせ、問題行動を達成しても、たいしていいもんじゃない、と考えたり、
なにか成し遂げても、その興奮は一時のものだと考えたり、
射精したいとか裸をみたいとか、そういう願望ではないのだから、依存症は不思議なもんだ、とあっけに取られたりします。
そうやって、問題行動の目的は何?と自問自答することで、時間稼ぎされるからか、脳の血流が戻ってくるからなのか、意識が正常に戻り、問題行動のデメリットとかそういうことも考えられるようになってきます。
なんとなくですが、脳が冷める感じがします。
これが、今のところの、私の「バカ克服法」です。
ちなみに、急性トリガーに触れたときに、緊急回避的に、あらかじめ決めておいた方法をとることも有用と言われています。メントスを食べるとか、咳をして注目を集めるとか(私の場合はブレーキと言う)。この方法は私の通院する精神科では「二次ブレーキ」と呼んでいます。
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