加害者の取り組んでいる治療
この部分がこの本の最大の目玉です。
本書を読むと、実際に作者が工夫している渇望の止め方が紹介されています。
普通の依存症の本には、渇望を止める方法が色々列挙されていて、「自分に合った方法を見つけていきましょう」と書かれています。
ちょっと突き放された感じを私は感じます。
当事者からしたら、「この方法がめっちゃよかったです」という体験談が一番欲しい情報です。
この本にはそれが詳しく紹介されています。
私が特に興味を持ったのは次の2つの方法です。
- 自分を萎えさせる
- 目立つ格好をする
自分を萎えさせる
自分を萎えさせるという方法は、
痴漢しようとしている対象の女性が、もしかしたら「男性かもしれない」とか「警察官かもしれない」と想像することで気持ちを萎えさせるという方法です。
この方法は、どんな本にも書いていない、筆者独自の方法です。非常に参考になります。
この考え方を応用して、対象の女性を「自分にとって大切な人」や「友達の妹」などと思うことで思いとどまることができる人もいるでしょう。
目立つ格好をする
この考え方も、どの本にも書いていません。
この考え方は、奇抜な格好をすることで周囲の人の目を引き、性犯罪を不能にするという方法です。
この方法はよく考えるとすごい方法です。
何がすごいかというと、外出する前の服を着る段階で、あるいは服を買う段階で、「自分は性依存症である」という認識をしっかり持っているということです。
つまり、事前対処なのです。
自分は性的な問題行動に対して無力であるという自覚が強い筆者だからこそできる試みです。
奇抜な格好で目を引くのは現実的には難しい人もいるかもしれません。
そんな人でも、赤い時計をするとか、黄色い靴を履くとか、ひとつのアイテムだけ目立つ色にしてもいいと思います。
「赤い時計の人に痴漢されました」とか「黄色い靴の人に盗撮されました」とか被害者をもし生むような行動をしてしまったら絶対逮捕されるという確信が持てます。それが、犯罪抑止につながるでしょう。
また、自分の時計や靴を見るたびに、「これは依存症対策で買ったんだよな」と思い返すことで、自分の決意を日々実感できていいかもしれません。