知っている(と思っている)ことを、ひとまず「知らないこと」として文章の形にしてみる

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村上春樹の「スプートニクの恋人」という小説を読んだ。

その中で、次のようなセリフが出てきた。

『知っている(と思っている)ことを、ひとまず「知らないこと」として文章の形にしてみる。』

なかなか、面白いセリフだ。

私も、実際にやってみた。

知っていると思い込んでいる言葉はたくさんある。

たとえば、

  • エンジン
  • 心臓

これらの単語を、「知っている」と考えてしまえば、話はそこで終わりで、深まることはない。

しかし、「知らないこと」としてあれこれ思案したり、文章の形にしてみようと努力すると、

「あれ、うまく説明できないな」

となり、調べたり考えたりするから、新しい知見がえられるだろう。

さて。

少し難しいのは、抽象的な概念や人間の感情についてだ。

  • 誠実
  • 責任
  • 勇気
  • 不安
  • 後悔

これらの単語を、「知らないこと」として考えることはとても疲れる作業だ(そもそも、日常では深く考えないから、本当に知らないことなのかもしれない)。

辞書を書いていくみたいな、そんな難解な作業だ。

当たり前のように使っていた単語が自分の言葉で表現できないというもどかしさに気付く(少なくとも私は)。

と同時に、考えるという行為そのものが、私の人間としての深みや味、奥深さを創ってくれるようにも感じる。

たとえば、『依存症とは何ですか?』という質問を自分にしてみたときに、最初はうまく言葉で答えることができない。

だから考える。

ああでもない、こうでもないと、試行錯誤する。

そうして、導き出した自分なりの解答が、人生哲学として、自分の人生を支えてくれる骨格(あるいは人生の羅針盤のようなものだろうか)になる。

ちなみに、私の中での依存症とは何ですか?という問いに関する解答は、以下のようになる。

  • 継続できなくなった習慣
  • 自分の中の“大事なものランキング”の順番が狂ってしまうこと。価値観の転倒。
  • 根本にある困難や苦痛は解消してくれないが、一時的に安らぎをもたらしてくれるもの。

こんな感じで、色々なテーマに対して、自分の言葉で表現できるようにしていきたい。

まだまだ先の話だろうが、最終的には、

  • 自分
  • 人生
  • 幸せ

などの難しいテーマについて考え、自分なりの言葉で表現したい。

最難関のテーマはやはり、『自分』なんじゃないかな、と思っている。

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