近況報告

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なんとか、不安とは折り合いをつけながら生活しています。

少しの不安はありますが、なんとなるだろうという楽観視も抱いていますので、心の調子としてはまずまずです。

土曜日は、妻が用事のため、自分が子供と過ごす1日でした。

ほぼ毎日仕事のため、散歩したのが新鮮でした。

はんこ屋さんがハンコを作っていたり、床屋さんが働いていたり、

一人ひとりが仕事をして社会を形成しているさまをみて、温かい気持ちになりました。

そういう風に感じたことがいままでなかったので、

「社会」

という言葉の意味が最近になって自分の中で変わってきたように感じます。

日曜日は、登山に行こうと思っていたのですが、雨のためキャンセルに。

妻と買い物に行きました。

なかなか良い買い物ができて、うれしい気持ちでいっぱいです。

最近は、『村上さんのところ』という本を読んでいます。

村上春樹さんが、読者の質問に答える本です。

そこで、読書をたくさんしなければいけないと焦る学生の質問がありました。

村上さんは、読んだ本の数ではなくて、どれくらい血肉になっているか、というのが大切だと回答します。

具体的には、「情景が浮かぶ」というのがポイントのようです。

ある本のあるシーンが思い起こされることがあると思うのですが、そういうシーンをたくさん持つことが大切だと言っていました。

そこで、自分の場合はどうかなと考えたのですが、

ありありと情景が浮かぶ本ってなかなかないです。

最近読んだ『エッセンシャル思考』の挿絵ならすぐに思いついたのですが、

風景みたいなものは、なかなか思いつかなかったです。

しかし、すごく、強烈に覚えているのは、

転落弁護士

という本です。

これは、数年前に、私が性犯罪をおこし、解雇されて無職となり、精神科に通っていた日々の中で出会いました。

当時は妻と結婚する前で、2人で同棲していました。

精神科に週2-3日通っていて、その他は、無職なので、主夫をしていたんですね。

無職で無給だったので、毎日300円のお小遣いで生活していて、

ブックオフで110円の本を買うのがささやかな楽しみでした。

そんな中、ブックオフの110円棚で出会ったのが、『転落弁護士』です。

この本はノンフィクションです。

主人公の筆者(弁護士)が、ささやかな事務所を妻とともに開き、

ふとした拍子に銀座に事務所を移し、夜の世界に入り浸ります。

キャバクラにはまり、お金が欲しいがために危険な案件に手を伸ばしてしまいます(いわゆるやくざがらみです)。

そこでの犯罪が、懲役刑となり、弁護士資格も失いました。

そういう、1人の弁護士の転落人生が描かれています。

その一冊で、もっとも記憶に残っているのが、

この私と妻の「二人の事務所」をやっていたころが、私の五十余年の人生の中で最も充実した幸せな時でした

という文章です。

二人が事務所を始めたのは、東池袋、10坪の部屋で、初期予算90万円で始めた小さな事務所だったそうです。

弁護士である筆者と、事務員をつとめる奥様の2人体制。

仕事は少ないながらも、すべて手を抜かずにやる。国選弁護もすすんで受任。

お金がなくてタイプライターも買えなかったけれども、妻が清書してくれる。

そんな状態だったそうです。

その文章を読んだときに、

私は前科があって今は無職。主夫。これから夕飯の買い出しにいって、夕飯をつくり、妻(当時は彼女)の帰りを待つ、という状況でした。

貧しい中にも、希望があり、温かみがありました。

これから頑張るぞ。と思っていましたね。

妻も、私の再起を応援してくれていました。

その弁護士の駆け出しのころと、自分の今の状況を重ね合わせました。

お金はないけど、希望はある。

そういう点が、似ているなと思ったのです。

その後、弁護士はキャバクラや金に溺れ、危険な仕事を受けて、自滅していきます。

さて、自分の人生はどうなるのか。

そんな不安がありました。

というのも、その筆者の考え方や弱いところが、自分にもあるように感じたからです。

私は、女性問題や金の問題に弱いと自分で感じます。

だから、それで身を滅ぼした筆者のことが、他人ごとに思えませんでした。

自分の人生はこれからどうなっていくのだろう。

その本を読んだときは、反面教師に出会ったようで、自分の人生はこの弁護士先生のようにはしないぞ、と強く思いましたね。

その後の私の人生はどうなったかというと、

再就職をして、その数か月間の給与をすべてつぎ込み、婚約指輪を購入しました。

カラット数が、ちょうど父親の命日だったので、不思議な縁を感じながら、ブティックで買いものをしたのを昨日のことのように覚えています。

そして、子供を授かりました。

当時はアルバイトでしたが、しっかりと定職に就かねばと思い、たくさん面接をして、一社に内定をもらいました。

結局、いろいろとあり、その職場を解雇されましたが、無事に再就職できて、いまは落ち着いています。

女性問題はありません。

しかし、お金問題はあります。

やはり、早く仕事がやめたいとか、解雇されてもいいようにとか、いろいろな理由を並べながら、「お金を増やしたい自分」というのがとても強烈なのです。

ですから、妻や子供との時間を犠牲にしてでも稼ごうという考えが頭の中を占拠してしまうことがあります。

わかっていますが、なかなかやめられません。

少なくとも、婚約指輪を購入した時よりは、お金に対する欲が出てきています。

しかし、幸せになっているかというと、そうではない。

お金を追求していくことが、何かを犠牲にすることは、私もよく分かります。

これからの人生、どう生きていきたいか、最近は深く考えます。

もちろんお金は大事ですし、

早期退職・FIREだっていいと思います。

しかし、現実離れしたラグジュアリーな生活、高級外車に高級時計、邸宅やタワマンなんて狙ってしまったら、温かい生活というのを失い、心がむしばまれていくに違いありません。

「ラグジュアリー」と「家族の絆」というのは、相反するように思います。

感情的には、優越感と連帯感ですから。

うまいところのバランスを目指したいですね。

それなりにお金に困らずに、温かい家庭を運営するというのが、私の今のテーマです。

それでは今日はこれで終わります。

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