『カラマーゾフの兄弟』を読了

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カラマーゾフの兄弟』を読了しました。

11月22日から読み始めたので、5か月かかりました。

難解な文章だったので(とくに、「大審問官」の章は理解できませんでした)、途中でほかの本を読みながらでした。

かなり時間がかかってしまいました。

ここで、まず、皆さんに申し上げたいことは、作者ドストエフスキーはギャンブル依存症だったということと、複雑な女性関係であったということです。

ギャンブルについては、時計や妻の所有物までも質に入れたことがあるほどでした。ギャンブルで金に困っていたから、出版社との契約で小説を作ったこともあります。

女性関係については、最初の妻マリアは既婚であり、後の恋人ポリーナ・スースロワとの交際も屈折したものだったそうです。

つまり、ギャンブル依存症+性依存症だったのではないか、と私は推測しています。

そんなドストエフスキーの書いた『カラマーゾフの兄弟』ですが、歴史的名著とされており、私が好きな村上春樹さんが影響を受けた作品の一つとして『カラマーゾフの兄弟』をあげていました。なので、ずっと読みたかった作品です。

読み終わった私からの一言ですが、「読み直しを要する」ということです。

非常に重層的な物語で、様々な角度から描かれた壮大な作品です。

物語としては、なんとか理解できました。

話の筋はなんとなくわかります。

しかし、心理描写や哲学的な話題など、私はついていけませんでした。

とはいっても、何か書かなければせっかくこのブログを読んでくださる方に失礼なので、私なりの感想を書きます。

ネタバレは含まないように書きますね。

私は感じたことは、感情や欲望が鮮明に描かれているということです。キャラクターがいきいきしています。

異性への渇望、金銭欲、親子愛、憎悪、嫉妬、劣等感、自尊心、誠実

いろいろなものが出てきました。

なぜ、一人の作家が、いろいろなキャラクターの心理をこうも鮮やかに描けるのか不思議でしたが、きっとそれは、自身のギャンブル依存症や性の問題が影響していると思います。

  • どうして自分はギャンブルがやめられないのか。
  • 損するのはわかりきっているが、「次こそは」と考えてしまう。

など自分の心理と格闘していたのではないでしょうか。

女性関係についても、同様で、自分の複雑で屈折した恋愛を自己分析していたはずです。

そういった自分を徹底的に見つめる中で、観察眼が育まれたのではないかと私は考えます。

もう一つが、人間の邪悪な心・自己中心的な心・攻撃的な心などネガティブな要素をみごとに描写している点です。人間は強欲です。きれいごとばかりではありません。

それは、おそらく、作者のドストエフスキー自身がもっている、父親への反発などが作品に反映されていると思います。

自分でコントロールするのが難しい異常心理というのは、多かれ少なかれ誰にでもあるはずです。

そこを描き切ったドストエフスキーの力量には驚かされました。

ところで、これはドストエフスキーの最後の作品です。書いた後に死んでしまいました。

そして、とても興味深いのが、後半を書く予定だったが、書かずに死んでしまったということです。

この作品の前書きには、

後半の小説があって、そちらがより重要

と書いているのですが、

前半しか世に出されませんでした。

その、半分しか読むことができない(つまり未完成)というのも、この『カラマーゾフの兄弟』を魅力的にしているのかもしれません。

研究者がいろいろと推測していますが、三男が革命家になるという筋が有力のようです。

文芸評論家の小林秀雄はこの小説を「およそ続編というようなものがまったく考えられぬほど完璧な作品」と評しています。

今日のブログはこれで終わります。

皆さんも機会があればぜひ読んでみてください。

私は新潮文庫のものを読みましたが、

光文社古典新訳文庫から新訳もでていてそちらの方が読みやすいようです。

今後は、自己啓発本や新書を読みつつ、村上春樹さんやドストエフスキーの作品も読み進めていきたいと思っています。

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