セルフコンパッション(Self Compassion)について勉強しました。
背景
セルフコンパッションという言葉が世間に浸透し始めたのは、2000年代初頭のアメリカ。その背景には、マインドフルネス(Mindfulness)の流行がありました。マインドフルネス瞑想という言葉も流行りました。
マインドフルネスとは現状に対しての苛立ちや不安感などにとらわれて自分を判断したり行動したりせず、現時点での感情や思考に気づいたり受け入れたりする姿勢のことです。簡単に言うと現状をそのまま受け入れるといったところでしょうか。
2014年にはアメリカの有名雑誌「TIME」がマインドフルネスに関する特集を組んでいます。
セルフコンパッション(Self-Compassion)
セルフコンパッション(Self-Compassion)は直訳すると自己への慈しみとなります。コンパッション(Compassion)は助けてあげようとする慈しみや哀れみ、同情といった意味です。
TEDにセルフコンパッションに関して勉強になる動画がありました。
演者のKristin Neffさんはひどい離婚をして精神的に大変な時期にセルフコンパッションと出会いました。「親しい友達にそうするように、自分自身に優しくすることが大切だよ」と。
最初は半信半疑だったそうだが、のちにセルフエスティーム(Self-Esteem、直訳すると自己重要感)の研究にかかわったときに、セルフコンパッションはセルフエスティームにはない利点がたくさんあることに気づいたそうです。
そもそも、セルフエスティームとは自分の価値を評価・ジャッジすることです。高いセルフエスティームを持つためには、集団のなかで平均以上であると自分を評価しなければいけません。そのためには、他人と自分を比較しなければなりません。
一方で、セルフコンパッションは他者との比較を必要としません。
セルフコンパッションは
- 自分への優しさ(Self-Kindness)
- 一般的な人間性(Common Humanity)
- マインドフルネス(Mindfulness)
の三要素からなります。
①自分への優しさ(Self-Kindness)
他者に接するときのように、自分にも思いやりを持って優しい態度をとること。
例えば、あなたが仕事のプレゼンテーションのときに資料を忘れて段取りが悪くなってしまったとしましょう。自分への優しさが無ければきっと、「自分はダメだ」とか、「いつも重要な場面で失敗する」などと落ち込んでしまうことでしょう。
しかし、もしそれが親友の失敗なら「資料なしであそこまでできるのはすごいよ」とか、「この教訓があれば、もう二度とプレゼンテーションの日に資料を忘れることもなくなると思うよ。前向きに考えよう。」などと優しい言葉がかけられると思います。それを自分にしてあげるのが『自分への優しさ』です。
②一般的な人間性(Common Humanity)
”誰もが失敗するものである”という認識のこと。
周囲の複数の人の中で自分が生きているという自覚を持ち、「この苦しみはみんな味わっているんだ」とか、「みんな一切苦しまず人生を送っているわけではない」などと考えることが『一般的な人間性』です。
言い換えれば、逆境を肯定的な認識でとらえるといったところでしょうか。
③マインドフルネス(Mindfulness)
先述の通り、マインドフルネスとは現状に対しての苛立ちや不安感などにとらわれて自分を判断したり行動したりせず、現時点での感情や思考に気づいたり受け入れたりする姿勢のことです。「この状況は辛いな」、「この気持ちは最悪だな」といった風に、現状をありのままに認識します。
マインドフルネスという言葉が非常に有名になりましたが、マインドフルネスはセルフコンパッションの要素の一つです。
セルフコンパッションの利点
セルフコンパッションがあれば、幸福感が高まるといわれています。感謝の気持ちを多く持ち、自分や相手、または状況などに対して安定した見方・考え方ができるので、人生に対する満足度が高くなるそうです。
また、セルフコンパッションがあれば不安感やストレスが少ない傾向にあるそうです。
そして、レジリエンスが高まります。困難な状況を乗り越えていく心の力であるレジリエンスが高まります。
さいごに
依存症の人は、自己肯定感が少ないといわれています。しかし、その自己肯定感を高めるために、他者と比較して平均以上であることを求めてしまうと、それはナルシシズム(自己愛を持つこと)が強い傾向になりすぎてしまいます。本来の自分自身を肯定することができず、依存症の治療においても悪影響があるでしょう。
日常に、今回ご紹介したセルフコンパッションを導入してみてはいかがでしょうか?
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