依存症治療に”サンクコスト効果”を利用する

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私は治療の一環として日記を書いている。

毎日簡単に出来事を書いて、最後に自分で決めたルールが守られているか〇△×をつけるというものだ。

渇望があったらそれも書くようにしている。

筆者の日記

日記はセルフモニタリングだ。

客観的に自分を評価することで、見えてくるものがある。

例えば、何曜日に渇望が起きやすいなどといった周期性が分かる。

私の場合は精神科の通院が終わる土曜日夕方に開放的な気分になることが多く、歓楽街に行きたいと思うことがあった(今はそんな欲望は消失している)。

他には、純粋に日記として便利だ。

今まで日記というのは書いたことがなかったが、あの日は何していたっけ?と気になったときに見返すと便利だと気が付いた。

今は、精神科で勉強した日は勉強した内容を簡単に書くようにしている。後で見返すと復習になるからだ。

日記の効用について、他にも気付いたことがある。

それは〇が続いた後に、「せっかく問題行動やルール違反なく来ているからこのまま頑張りたい」という気持ちだ。

特に日記で〇を書くときに感じる。次回も〇を書きたいと強く感じる。

これは、どこかで聞いたことがあるなと思ったら、サンクコスト効果だった。

サンクコスト効果は回収不能となった投資金額や時間を惜しみ、投資を継続してしまったり意思決定を誤ってしまったりする心理的傾向のこと

サンクコスト効果の例として、「つまらない映画」の話が有名だ。

1800円払って映画を見始めたがつまらない場合、映画を一応みるか、映画館を出るかという選択があると思う。

本来であれば、1800円はもう支払い済でどうしようもないから考慮に入れず、残りの2時間弱を外で有意義に過ごすか、映画をみるか、どっちが得かという視点で行動を選ぶべきだ(そう考えると、外に出るべきという結論になる)。

ところが、実際は、「1800円払ってしまったから、1800円分は元をとろう」などと、1800円を考慮に入れてしまう(そう考えると、映画を見続けるハメになる)。

この映画の例はサンクコスト効果の悪い例として紹介されている。

つまらない映画なんて見る時間がもったいないのに、サンクコスト効果のせいで、元をとろうとずるずると映画を見続けてしまうという例だ。

一方で、今回の日記の〇を継続したいというのは、サンクコスト効果の良い面だ。

本来は〇が継続していたからと言って、その〇は過去に〇になっただけでどうあがいても変わらない。

したがって、今までの〇は考慮せずに、本日得をするか損をするかという視点で今日の行動を選択すればいい。

しかし、サンクコスト効果のおかげで、今までせっかく努力して〇を続けたから、このまま継続したいと思うのである。

こういう良い意味でのサンクコスト効果は大いにその流れに乗ったらいいと思う。

最近は、「せっかくここまで頑張ったから」という理由で問題行動もなく、一日一日を積み重ねることができている。日記のサンクコスト効果は大きいように思う。

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