「怒り」が湧きにくくなった
結論から書くと、依存症になってよかったことはないが、依存症の治療をしてよかったことはある。
依存症の治療をして、一番良かったと思うことは、「他人に寛容になったこと」であり、「怒り」が湧きにくくなったことである。(ただし、自分に実害があるときは怒る。あくまでここで話す「怒り」は、自分に実害がないときの怒りだ。)
まず、他人がなにか問題行動をしても、自分だって色々悪事をしてきた身なので許せる。これはセルフコンパッションでいう一般的な人間性(Common Humanity)なのだろう。「人間は誰しもが○○なのだ」という考え方をすることで、自己へも他者へも慈しみを持つことができる。
そして、その人の立場に立って考えることもできるようになったと自負している。ニュースで有名人のスキャンダルの映像が流れても、「やってしまったのはどうしてだろうか。どうして〇〇をしなくてはいけない状況になってしまったのだろうか。」と考える癖がついた。これは、アドラー心理学の目的論や依存症の自己治療仮説に近いのかもしれない。つまり、悪事にも目的があると考えるのだ。悪事の目的までみてあげると、「その人なりに必死に頑張っている」ととらえることもできる。
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