ここからは、私が思ったことを書いていきたい。
最初に断っておくが、彼を否定したり、彼がネガティブな感情になることを私は一切望んでいない。
彼の成功を願っているし、心から応援している。
今後もよい付き合いを彼としていきたいと思っている。
まずは、そんな前置きをしてから、彼に対する思いを書いていきたい。
彼の心にはスペースのようなものがあると思う。心の隙間。心の穴。
行為依存症という範疇に入る人は、心に穴があるのだと思う。
その穴を持ったままだと、自分を保つことができないから、問題行動に手を出してしまう(しまった)。
問題行動で得られるものはドーパミンだとか、感情だとか、いろいろな言い方をする。
それは、脳科学な視点や心理学的視点だとそういう話になるということだ。
しかし、2年間私が依存症と向き合った結果、「心の穴」と「それを埋めるもの」という考えが今は一番しっくりきている。
「心の穴」が空になっているときは、問題行動が起こりやすい。「心の穴」が空とは、暇とか目標がないとか、そういう表現になるときもある。
「心の穴」が何かで埋まっているときは、問題行動が起こらない。「心の穴」が何かで埋まっているというのは、はまっているものがあると考えればいいと思う。忙しい、目標がある、と言い換えてもいい。
つまり、買い物でも、娯楽でも、宗教でも、人生哲学でも、人間関係でも、仕事でも、お金でも、デイケアでの学びでも、何かに向かっているとき・はまっているときは、問題行動は起こさないのだ。
彼の心の穴を埋めるものは、移り変わっている。
精神科通院、ボクシング、オープンチャット、本執筆、AbemaTV出演、ファービー(玩具)、布袋様の置物、恋愛、
私はそれを近くで見てきた。
かれは、行動力や決断力が尋常じゃないので、とくに興味のある対象の変遷が激しい。
医学的にはADHDというのかもしれないが、別に病気だとかそういうのではなくて、その行動力と決断力が彼の特性だと感じる。
その特性をいい方向で生かすことができれば、大成功するだろうと思う。
いい方向で生かすということは、つまり興味があることを仕事にするということだろうと思う。
仕事が心のスペースを埋めることができると、行為依存症にとっては、最適な状況になると考える。
残念ながら、彼は今はそうなっていない。
「鍛錬」ではお金を稼ぐことができない。
そのあたりが、私は見ていてもどかしく感じた。
なので、彼のストロングポイントであるフィジカルを使って仕事をしてみるのはどうかと提案した。
荷揚げ、引っ越しなどの単発アルバイトをおすすめした。
すると、解散したその日の夜には「仕事決まりました」と連絡がきた。
彼の行動力・決断力の速さには毎回驚かされる。
ちなみに、心に穴が開いてしまう原因については、人それぞれだと思う。
私の場合は父親の死や過度な受験勉強などが関連していると感じる。
彼の場合は、あれこれ詮索したくはないが、養育環境や生まれつきの特性などが関連しているのではないかと推察する。
心の穴の原因なんて、あれこれ考えても元に戻すことができないから無駄なのではないかと感じることもあるが、
自分の全体像を俯瞰的に見ることで、新しい気づきが得られることも多く、
こういった内省が必要な局面というのもきっとあると思う。
話は変わるが、彼が取り組んでいる武道・スピリチュアルな方向について。
これは、真実だとか真実ではないとかそうことではなく、
私を含めて9割くらいの人には理解されないことだと思う。
まず、披露しても共感されない。馬鹿にされることもあるだろう。
なので、社会とのかかわりという意味では、困難な方向性に傾倒していると言わざるを得ない。
しかし、彼の心の中で大きなものとして武道・スピリチュアルな内容が存在しているので、
今はとても落ち着いているように見える。
そして、多くの人に受け入れられないという状況を彼は心の奥底で楽しんでいるようにも感じる。
「反骨心」という、多数勢力に屈しない力というのが、彼の人生に張り合いを与えているのではないだろうか。
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