依存症の実験で有名なものがいくつかあります。
また、ベトナム戦争も戦争前後で兵士の違法薬物の利用状況を見比べると、驚くべき事実が発見できました。
わかることは、薬物依存の原因は違法薬物の依存性ではなくて、辛い環境であったり、孤独であるということだったのです。
今回はそれらについて解説していきたいと思います。
自己注射実験
1979年、コカインを自分で注射できるようにしたサルがコカイン依存になってしまったという実験がありました。
自己注射実験と呼ばれます。
この実験の結果から、コカインには依存性があると証明されたかにみえました。
しかし、実際は狭い檻に閉じ込めて行われた実験でした。
このような多大なストレスを受けている動物にとって、コカインなどの薬物でストレスを和らげようとする以外に方法がなかったのです。
「ネズミの楽園」実験
そこで1980年にカナダ人心理学者のアレクサンダーがネズミの楽園をつくり実験を行いました。
この実験は、麻薬依存症の原因は麻薬の依存性よりも環境であることを示唆するものです。
そして、環境を変えることで依存症を克服できる可能性が示唆されたと言っていいでしょう。
人間が実際に狭い檻に入るというのは、刑事施設しかありません。
しかしながら、現代社会では心の檻が存在しているのだと思います。
その最たるものが孤独・寂しさです。
依存症の治療には「つながり」が必要と言われています。
孤独・寂しさを解消するために自助グループなどにつながったり、精神科のグループワークなどで心置きなく話せる友人を持つのが治療の一番の近道なのかもしれません。
ベトナム戦争
今までは、サルやネズミの話でした。人間を対象とした実験はできませんからね。
しかし、一部の人間には”心の檻”となりうる歴史的な出来事がありました。
ベトナム戦争です。
戦争中の兵士たちは、20%もの人が違法薬物依存であったそうです。
そして、終戦後、彼らは祖国に帰ります。
家族、友達とも会えます。セックスだってできます。運動をしたり、勉強をしたり、なんでも自由です。
つまり、「檻」から「楽園」に帰ってきたのです。
さて、戦争中は20%の人が薬物依存でしたが、どうなったでしょうか?
もう皆さん、答えはわかると思います。
95%もの人が、依存症から回復したのです。
じゃあどうするか
依存症当事者の場合
もし、あなたが依存症当事者であれば、やるべきことは一つです。
”心の檻”から出ましょう。
つまり、友達をたくさん作っていくこと、彼らと有意義な時間を過ごすこと(運動、会話など)に全力を注ぎましょう。
引きこもっているから、依存症になっているのです。
依存症家族(サポーター)の場合
もしあなたが依存症家族(サポーター)であれば、やるべきことは一つです。
自分が”楽園”になりましょう。
つまり、相手を抱きしめてあげましょう。「寂しかったね、辛かったね」と言ってあげましょう。
今まで逆のことをしていた、自分が”心の檻”になってしまったと後悔している方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方も、安心してください。今からでも間に合いますし、この文章を読んで気付くことができた自分を褒めてあげてください。
さいごに
今回のまとめは以下のようになります
- 麻薬依存症の原因は麻薬の依存性よりも環境である
- 環境を変えることで依存症を克服できる
- 依存症の治療には「つながり」が必要
こう言った事実を知り、知識を蓄え、「じゃあどうするか」を一緒に考えていきましょう。
依存症者も、依存症者を支えるサポーターも、変わることができます。絶対に。
回復することができます。絶対に。
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