『性依存症のリアル』を読んで

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タイトルに”リアル”とあるとおり、リアリティーのある生々しい表現の多い本でした。本書の8割ほどは当事者が語る事件当時の様子と反省で、残る2割ほどは座談会と称して治療にあたる榎本クリニックのスタッフの意見交換が掲載されています。どの文章も血が通っているといいますか、臨場感があって引き込まれました。

女性の背後に立ちヒップのソフトタッチやバストの「ひじ当て」にはまった。ミニスカートでつり革を掴んでいる女性の背後に密着し、まずは単なるタッチで様子を窺い相手に拒む様子がなければスカートの中に手を侵入させ下着に接触する。さらに下着の中に直接手を忍ばせていくこともあった。「ひじ当て」では、特に夏は半そで通勤なので、ひじにもろにバストの感覚が伝わりたまらないのだ。

出典『性依存症のリアル』p17

上記のように臨場感あふれる犯人の心理が描写されています。性犯罪の心理を理解するのに役立つと思いました。また、同様に被害者の悲惨な事件当時の供述もありました。加害者はこの部分を読むことで再犯抑止につながると思います

巻末の加害者家族の会が印象的でした。加害者の家族というのは、

  1. 犯罪の原因としての家族
  2. 被害者としての家族
  3. 犯罪抑止力としての家族
  4. 再生の場としての家族

という様々な側面があるそうです。

特に②に関しては、性犯罪で家族が逮捕された際に、自宅への訪問という形で警察が来たという衝撃的な経験から、インターホンが鳴るのが怖いという方も多いそうです。

また、自分が罪を犯していないのに、加害者のカテゴリーに入れられてしまいます。強制的に人生が変わってきてしまいます。大きく報道をされた事件などでは、加害者家族が自責の念から自殺してしまうという最悪のケースも存在するそうです。

私はこの記載を読んで、本当に胸が痛みました。自分も同じような辛い思いを周囲の関係者にさせてしまいましたから…

加害者、被害者、家族、医療従事者のそれぞれの立場から見たリアルな文章が読めるおすすめの一冊です。

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