最近、メディアでもよく見かける斎藤章佳さんの本です。
痴漢だけではなく、性犯罪全般に応用できる濃い内容となっています。
性依存の患者さんに一冊お勧めするならこの本かなと思います。
性犯罪のきっかけ
本書で指摘されていたのは次の2点です
とても納得する内容です。
痴漢の動機
痴漢の動機は性欲ではなく優越感と書かれています。とても共感します。
自分の問題行動を振り返ると、射精したいとか性交したいとかではなく、女性を思いのままにしたい・服従させたいという気持ちでした。
普段からストレス解消ができていない、女性軽視の認知の歪み(女性をバカにしている)が背景にあったと考えています。
本書によると、痴漢行為の時に常に勃起している加害者は3割しかいないといいます。このデータは、性欲解消が目的ではなく、目的は優越感だということの裏付けになりそうです。
ゲーム性、スリルとリスク
性犯罪加害者は犯罪行為にゲーム性を見出す傾向があるそうです。
電車での痴漢であれば、対象に「できそうな女性」を選定するとか、どのドアから逃走するかなどをあらかじめに決めたりするらしいです。
そして、「バレたら解雇だな」などと人生がかかっているからスリルを感じて楽しいのだそうです。
登山は仲間が何人か死んでもやめられない人がいますが、きっと似たような感じなのだろうと思います。
つまり、性犯罪の前科があることは必ずしも再犯抑止になるわけではありません。
「次やったら人生の終わりだ」というスリルは再犯リスクだと感じます。
テレビゲームはクリアがギリギリ可能な難しさが楽しい、失敗すると最初に戻るなどの制裁があるから楽しいと言われていますが、性犯罪もそうなのかもしれません。
性犯罪者はマスターベーションの回数が多い
性犯罪の加害者はマスターベーションの回数が多いそうです。
しかし、一概に性欲が強いというわけではなく、ストレスコーピングとしてのマスターベーションなのだそうです。
良い人間関係、趣味、運動、呼吸法、ヨガ、芸術鑑賞など様々なストレス対処法があるのに、それを知らないorできないからマスターベーションに頼るのだといいます。
具体的には、コンドームメーカーがとった平均的なマスターベーションの回数が2,3日に1回なのに対して、性犯罪加害者の場合は1日に2〜4回程度のようです。
これは、私自身がそうでした。
狂ったようにセックスやマスターベーションをしていた時期があります。
今では、運動をしたり、読書をしたり、ブログを書いたり、と様々なストレス解消法があり毎日が充実しています。
さらに、マスターベーション日記をつけ始めました。これは、ノートに日付けとマスターベーションの回数を書いていくという簡単な方法です。
マスターベーションの回数が客観視できておすすめです。
また、マスターベーションに使うアダルトコンテンツは、インターネットにあるエロ動画なのですが、「この人たちは性依存なのかな」「女性が嫌がっていないのだろうか」などと以前とは違った目で見ている自分がいます。
そして、痴漢系、レイプ系、盗撮系といった相手の同意を得ていない(かのような演出の)作品を見ることはなくなりました。「これで人生が狂ってしまった」と感じます。みると萎えてしまうのです。
女性軽視が背景にあるアダルトコンテンツを見なくなっているのが、マスターベーションへの渇望が減っている要因なのかもしれません。
再犯防止のためにマスターベーションを管理する
本書は、再犯防止のために、マスターベーションを管理するべきと説いています。
とても素晴らしいと思います。
まず、回数を0にしていくことについて。
生活が性に支配されている場合よりも、健全な活動に満ちていた方が再犯リスクは少ないのは言うまでもありません。
しかし、順番としては、ストレス対処法を身につけて(趣味をたくさん作るなど)からマスターベーションの回数が減ってくるのがいいと感じます。
マスターベーションするなと言われると、逆にマスターベーションを意識してしまうでしょうし、自然と減るのがいいと思います。
次に、アダルトコンテンツを制限すること。
とても重要だと思います。性犯罪に関連するアダルトコンテンツを見ていたのでは、渇望は減らないでしょう。
認知の歪みや嗜好を変えていくためにも、不適切なアダルトコンテンツの制限は肝要です。これも、できれば自分で気づいて、自らがフィルタリングサービスを申し込むのが良いように思います。
マスターベーション日記に関しては、先述のとおり私も実施しており、かなりいいです。自分の状況が客観的に見ることができていいですね。
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