再就職するときのお金の問題
さて、プライドについて自分なりの答えが出たところで、次は具体的な数字について考えていきたい。
収入は高い方がいいのか。
この問いに長らく悩まされた。
年収はほどほどでいいんじゃないかとか、高収入過ぎたら自分が壊れてしまう(快楽を求めたり問題行動にはしる)のではないかとか、いろいろ考えた。
年収と幸福度の関係
この図をどうみるか。
私は次のような見方をする。
①年収が上がるにしたがって幸福度が上がる
②上に凸の曲線であり、年収の増加に伴って接線の傾きが小さくなる(限界効用逓減の法則)
と考える。
つまり、年収が大きければ大きいほど幸せなのだが、年収が増えていくほど幸福は増加しにくくなる。
年収をどのくらいにしたらいいのかという問題を考えるときに、普通に考えれば②の限界効用など考える必要もなく、最大年収のところにエントリーしたらよろしい。
当たり前の結論だが、年収は高い方がいいのだ。
年収を考えるときの落とし穴
ただし、これには落とし穴がある。単純に収入と幸福度だけで見ると収入が上がると幸福度が上がる関係だが、年収を上げるために自分の健康や人間関係を犠牲にしていることが少なくないのである。年収を簡単にいじれるなら高くした方がいいのだが、実際は年収を上げるとなると、労働時間が増えたり、責任が増えて心理的な負担がのしかかってくる場合がある。
0-400万円の年収にかぎってみれば、年収が上がると急激に幸福度が上昇するので、多少の人間関係や健康の問題なら目をつぶってしまい、年収を増やす方に専念したほうが良い。年収が幸福度に直結してくるゾーンだ。
400-800万円の年収があれば、年収が上昇しても、幸福度は上昇しにくくなる。これを限界効用逓減の法則という。この状態になれば、健康や人間関係の方が年収よりも大事なのだ。年収以外の要素にも目を配った方が賢明である。
800万円をこえる年収になってくると、限界効用逓減の法則によって、幸福度はほとんど横ばいである。年収を上げるために、犠牲を払う場合は年収を上げることばかりに執着しない方がいい。
リチャード・レイヤードは幸福(客観的幸福)に影響をもたらす7つの要因をビッグ・セブン(Big Seven)として紹介している。これらの要素は幸福感についての一種の全体像を示している。
これは General Social Survey の結果から得られたものとしている。また、この 7 つの要因のうち、家族関係が最も幸福に与える影響力が最も大きいとされている。
家族関係や友人関係を害する要素としては、下記があげられる。
- 完全に仕事から解放される時間が少ない
- 通勤時間が長い
- 勤務時間が長い
- 休憩が少ない
- 自宅でも仕事をしなくてはいけない
他にも、健康も幸福に重要な影響がある。一般的に労働条件に下記の事項があると健康は害される。
- 勤務時間のばらつき
- 長時間通勤
- 長時間労働
- サポートがない(困ったときに相談できる人がいない)
- 仕事の裁量権がない
- 組織内で不公平が多い
他には、個人の自由や個人の価値観であれば、仕事で自分に裁量権が与えられていると幸福度は高くなる。また、雇用状況でいえば、無職であったり、雇用されていてもいつ解雇されるかわからない職場では幸福度は低くなってしまう。
まとめると、再就職においては、家族関係や健康など幸福に影響を与える 7 大要素の犠牲を払わないように留意した上で、年収の最大化を目指すのが合理的だ。
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