問題行動への欲求を駆り立てる刺激を「トリガー」と呼ぶのですが、このトリガーをいかに避けるかを考えることが治療の 1 つのポイントとなります。
慢性トリガー
慢性トリガーは、「慢性」と付く通り、日常で常に関係する刺激です。
- 道具
- 人間関係
- 感情
- 時間帯
- 場所
に分類して考えるのがよいという話を行動療法の記事で説明しました。
急性トリガー
一方、今回解説する急性トリガーは、アクシデント的に出現してしまった刺激のことを指します。「思いがけない」がキーワードとなります。事前に予測することができません。
以下、急性トリガーの例を挙げてみます
- 【性依存】満員電車を避けるために夜勤の仕事をしていたが、電車の遅延の影響でいつもは空いている電車が満員電車になってしまった。
- 【ギャンブル依存】パチンコ屋の前を通らないようにしていたが、路上で配布されているポケットティッシュをもらったらパチンコの広告だった
- 【性依存】路上で好みの女性を見つけてついていきたくなった
- 【アルコール依存】酒を避けていたが、葬式に出た際に、事情を知らない親族からビールを強く勧められてしまった
これらはすべて急性トリガーです。
厄介なことに、急性トリガーに遭遇してしまったときに、何もしなければ問題行動に走ってしまいます。
ところで、脳の前頭前野は主に「理性」をつかさどり、大脳辺縁系は「本能」「感情」をつかさどっています。通常は前頭前野の働きのほうが優勢ですが、急性トリガーに触れると、前頭前野の働きが悪くなり、大脳辺縁系による「本能」「感情」に支配されてしまうのです。
分かりやすい例でいうと、衝動買いでしょうか。後で後悔するようなものをどうして買ってしまったのかというと、前頭前野が大脳辺縁系に負けてしまい、理性的に検討できなかったからなのです。
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