称賛を求めない
誰かに感謝してもらうことを人は勘定に入れがちで、相手を心の中で債務者とみてしまう傾向があります。
自分の存在や自分の行為は、本来は評価とは無縁です、称賛・評価・批判と自分の価値は無関係なのです。
不動心(apateia)
自省録には「不動心」という言葉がたびたび出てきます。これは、心の平安を保つことという意味で、幸福に必要とされている概念です。
逆に、不動心の反対が、怒り・憎しみ・悲しみなどの、外からの刺激で心が波立つことです。
不動心を手に入れることは、精神の平穏を意味します。
「情念から自由な精神は城塞である」(8・48)
とまでアウレリウスは言います。
不動心に至るためには、
「判断を取り去れ。そうすれば『害された』という判断は取り除かれる」(4・7)
「他人が何かするかしないかには何も求めない」(2・17)
と書かれています。
他者からの非難も裏切りも、それは「外」にあるもので、「内」なる私が影響をうけることはないという意味です。
まとめ
他者という外なる煩いへの対処
- 自分の指導的部分(理性)が脅かされたわけではない
- 自分を害そうとする人があっても、自分もまた同じ過ちを犯しうると知ること
- その人がなぜ過ちを犯したか考え、当人は無知のため心ならずも過ちを犯していたと気付く
- すべての人は協力して生きる同胞だという視点を持つ
- 怒りの情念から自由になれること
- 称賛を求めない
- 心の平安を保つことが幸福である(不動心)