意志とは「やり抜く力」と「自制心」
意志が強いというのは、どういうことでしょうか。
役立つと思ったら自分の嫌いなことでも頑張ることや、役立たないと思ったら自分の好きなことでもやめることです。前者を「やり抜く力」、後者を「自制心」と呼びます。
やり抜く力
「やり抜く力」はペンシルバニア大学のダックワークス准教授が「成功を予測できる能力」として発表したものです。ダックワークス准教授はこの力を「遠い先にあるゴールに向けて、興味を失わず、努力し続けることができる気質」と定義しました。12の質問に回答することで、この「やり抜く力」は測定でき、その数値はその人が成功するかどうかを高い精度で言い当てることができるそうです。
では、この「やり抜く力」はどうやってトレーニングできるでしょうか。スタンフォード大学のドゥエック教授らは、この力を伸ばすためには「しなやかな心」つまり「自分の能力は生まれつきのものではなくて、努力によって伸ばすことができる」と自分に言い聞かせることが大切だと主張しています。ドゥエック教授らの研究でも、保護者や指導者から定期的にそのようなメッセージを与えられた子供らは「やり抜く力」が養われ、成績も改善したそうです。
他には目標を分割して、途中に中間目標を設置する方法もよいでしょう。試験勉強で言えば、受験当日ではなく、途中にある模擬試験を目標にするなどです。依存症であれば、一生涯問題行動をしないという長い目線だけではなく、まずは1日ルール違反をしないという目標を立てて、達成出来たらどこかにしるしを書く(私の場合は日記に〇を書いています)というのもいいと思います。
自制心
「自制心」に関連する実験として有名なのは、コロンビア大学のミシェル教授が行った「マシュマロ実験」です。4歳児の目の前にマシュマロを置きます。「食べてもいいけど、大人が戻ってくるまで待てれば、マシュマロをもう一つあげるよ」と伝えて、大人は出て行ってしまいます。15分後に大人が戻ってきて、マシュマロが残っているか食べられているか確認するという実験です。
結果は3分の1の子供はマシュマロを食べずに我慢することができますが、残り3分の2は我慢できませんでした。
この実験の面白いところは、この子供たちを追跡調査すると、高校生になった時点で、マシュマロを食べるのを我慢できた生徒は、我慢できなかった生徒に比べて、成績が優秀だったのです。自制心と学力に相関があるということ示されました。
では、この「自制心」はどうやってトレーニングできるでしょうか。「自制心」筋肉のように鍛えられると言われています。つまり、継続と反復です。たとえば、指導者に背筋を伸ばせと言われ続けて、それを忠実に実行した生徒は成績が向上したという研究もあります。背筋を伸ばすというような普段意識しないようなことを継続して行ったことで自制心が育ち成績が向上したと考えられます。
また、「細かく計画を立てて、記録し、達成度を自分で管理する」というのも有効です。勉強であれば、毎日学習日記をつけたり、ダイエットであれば、食べたものと運動を日記につけるという方法です。1冊本を用意して、そこに計画を書いていくというのはとても有効です。大人になるとなかなかそういう試みはしなくなるかもしれませんが、取り組んでみてはいかがでしょうか。
また、自制心の弱い人と接することがないように環境を調整するということも大切です。駐輪禁止と書いてあるものの近くに沢山自転車がとめてあったら停めてしまうこともあるでしょう。通行禁止と書かれた通路でも、多くの人が素通りしていたら、自分も通ってしまえと思うものです。ほかの人がルールを無視して好き勝手しているのを見ると、自分の自制心が低下してしまうのです。昨今ではTwitterが危険だと思っています。犯罪を容認するような投稿が目につきますし、性的な逸脱、性的な奔放を誇示するような投稿も多いです。そういったコンテンツに日常的に接していると、自分に対して良い影響がありません。
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