2021年1月8日(金)の金曜ロードショーが『パラサイト 半地下の家族』のようです。
それにちなんで、以前見たときに書いた感想文をここで紹介したいと思います。
とってもいい映画でしたよ。ぜひ見てみてください。
もしも、見るぞ!という方は、このブログはネタバレになってしまうので、映画を見た後にこのブログを読んでみてください。
カンヌ国際映画祭では、審査員満場一致で[最高賞]パルムドールに輝いた『パラサイト 半地下の家族』。韓国映画として初の同賞受賞という歴史的快挙を成し遂げた。
全員失業中。日の光も、電波も弱い“半地下住宅”で暮らす貧しいキム一家。大学受験に失敗し続けている長男ギウは、エリート大学生の友達に家庭教師の仕事を紹介される。身分を偽り訪れた先は、IT企業を経営するパク社長一家が暮らす“高台の大豪邸”。思いもよらぬ高給の“就職先”を見つけたギウは、続けて美術家庭教師として妹ギジョンを紹介する。徐々に“パラサイト”していくキム一家。しかし、彼らが辿り着く先には、誰にも想像し得ない衝撃の光景が待ち構えていた。
公式HPより引用
概要※ネタバレあります※
既にパク家には家政婦がいましたが、家政婦が桃アレルギーであることを利用して、桃の粉末を振り撒き、家政婦を結核持ちに見せて解雇させました。
キム一家はこうして全員が身元を偽りながらパク家に雇われる(寄生する)こととなりました。
その後、パク社長一家が不在の大雨の夜に、元家政婦の女がパク家にやってくる。パク家の豪邸をわが物のように使い寛いでいたキム一家であったが、びしょ濡れな彼女の突然の訪問に渋々家に入れてしまった。彼女は猛ダッシュして隠された地下室を解放するのだ。そこには4年近く地下室でひそかに住んでいた彼女の夫がいた。
元家政婦とその夫は、すでにキム家が来るはるか昔から、パク社長一家に寄生していたのだ。
パク社長一家にどちらが寄生するかどうかの争いがおこり、なんとかキム一家は元家政婦とその夫を縄で縛りつけて地下室に閉じ込めることでその場をしのぎました。
その後は憎悪の絡む殺し合いが演じられ、悲惨な結末を辿りました。
感想※ネタバレあります※
この映画は私が今まで見た中でも上位に食い込む良い作品だったと思います。
構成
前半がコメディー要素が強く、落ち着いて微笑みながら見ることができました。後半は、豪邸に地下室があった驚きから始まり、ハラハラドキドキのサスペンス要素があり手に汗を握りました。この絶妙な温度差が、日本映画にはなかなかないので新鮮でした。
大雨が降る晩から物語が大きく転換します。この大雨という天候の変化で、映画の局面が明確に区分けされている点も映画監督の才能を感じます。
貧富の差
本作は、光の降り注ぐ丘上の豪邸に住むキム一家と、その隠し地下室に住む男と元家政婦、そして半地下のスラム街に住む貧困一家が出てきます。
豪邸は光が当たりますが全く光の当たらない隠し地下室を内包しており、半地下のスラム街は汚臭にまみれており光が当たりません。
社会的な各家庭の貧困の差、階級の差が、物理的な高低差や光の降り注ぐ量の差でわかりやすく表現されているように思います。
臭い
臭いというのがこの作品の随所に表現されています。
臭いというのは、どんなに隠そうとしても隠すことができません。この作品では、取り繕うことのできない人間の本質や階級を表しているように感じました。
元家政婦の桃アレルギーは人間の本質を、キム一家の臭いは着飾っても拭うことのできない貧困階級を表現しているようでした。
嗅覚の敏感な子供はキム一家が同じ匂いであることを見抜きますが、大人は完全には理解できないところもこの作品の妙味かと思います。
そして極めつけが、キム一家の父が、パク社長を刺殺するシーン。パク社長が惨事のなかで自分の家族のことだけを考えてその場から逃げ去ろうとする際に、不快な匂いから鼻をつまむシーン。この鼻をつまむ動作がきっかけでキム一家の父が刺殺を決意します。貧困階級が富豪階級へ反逆を試みるという構図と感じました。
さいごに
このただでさえコロナウイルスの猛威により閉塞した局面で、依存症の治療に取り組まれている方々はより強い閉塞感を感じているかもしれません。
そんな中で、よりより形で各人が息抜きをし、心穏やかになり、スリップなく渇望も少ない日々となりますように。
コメント