性依存という言葉は俗語であり、その言葉が指す範囲は広い。
性依存というのは、性に関する依存症全般のことだからだ。
正確には、強迫的性行動症とパラフィリア障害に分かれる。前者が性欲が旺盛な感じで、後者が性犯罪だと思ってもらえれば概ね間違いない。
しかし、巷では、セックスしていないと気分が落ち着かない女性(まれに男性)というのが存在する。単純に性欲が旺盛なのではなくて、いわゆる「病んでる」感じの人だ。パートナーがいないと情緒が安定しないという点から、人間関係依存といってもいいと思う。
つまり、性依存は行為依存と人間関係依存が複雑に絡み合っているのだ。
今日はその雑感を書こうと思う。
依存症は3種類にわけられる
依存症は3種類に分けられる。
物質依存と行為依存、人間関係依存。
物質依存は、対象の物質(アルコール、違法薬物など)への依存。
行為依存は放火や窃盗、ギャンブル、インターネット・ゲーム、買い物、暴力、自傷(リストカット)、アブノーマルセックス、過食・嘔吐など多岐にわたる。
人間関係依存は度を超えたホスト通いとか、不倫、ストーカーなどが一般的か。
性依存では、痴漢や盗撮などの性犯罪の多くが行為依存であり、
不特定多数との性交は人間関係依存の要素も含まれている。
行為依存はそこに向かっていく感じ、人間関係依存はそこに逃避する感じ
行為依存はその行為に向かっていく感じだ。
行為が目的そのものである。
キーワードは「ドキドキ」や「自由」。
一方、人間関係依存はそこに逃げていく感じだ。
生きづらさが根幹にあって、現実から逃避する対象として人間関係がある。
そこにいけば自分が認めてもらえる感じだ。
キーワードは「チヤホヤ」や「現実逃避」。
どこからが病的か
「行為」しなきゃ人間生きていけない。好きな行為は繰り返してしまう。
「人間関係」も生きていく上で重要だ。人間関係を失いたく無いと思うのは当然である。
「行為」も「人間関係」も生きていくのに必須だから、診断において物質依存のような明快さは無い。
むしゃくしゃしたらサンドバックを殴れば済む人もいるし、寂しい時に友達に電話して孤独感を解消している人もいる。
一方で、むしゃくしゃしたら放火やリストカットなどの違法行為や自傷行為に走る人もいるし、寂しい時に借金をしてまでもホストに通ってしまい生活に支障をきたすこともある。
どこからが病的なのか。
継続可能かどうか
正常と病的の境界は、継続可能かどうかだ。
継続可能かどうかというのは、合法であり、自分や他人に害がないということと言い換えることもできる。
むしゃくしゃしてサンドバック叩いたりしても害はないけど、放火しちゃったら害がある。
むしゃくしゃして拳を強く握るのは害はないけれど、リストカットしちゃったら害がある。
しかし、サンドバック叩きすぎて手首を疲労骨折したり、拳を強く握りすぎて血が出たらそれはそれで害がある。
寂しいから友達に電話するのは害はないけども、しらない異性と一夜限りの関係を結んで罪悪感があれば害がある。
寂しいから実家に帰るのは害はないけども、ホストクラブにはまってしまって経済的に支障があれば害がある。
しかし、寂しいからと友達に電話しすぎて友達が困っているとか、実家に帰って引きこもってしまうとかはそれはそれで害がある。
量的な程度や、種類において、自分や他人に害があるかどうかがキーワードになるような気がする。
性犯罪(行為依存)
盗撮や痴漢などに代表される性犯罪は全て行為依存である。
問題行動で脳内報酬系でドーパミンが分泌されるため、動機付けされ、繰り返してしまう。
性欲が目的ではなく、行為自体が目的である。実際に多くの性犯罪では射精を伴わない。
特定の相手とのセックスへの依存(行為依存)
好きな人とのセックスはいいものであるが、過度のセックスは日常生活で支障をきたす(自分に害がある)。
過度というのは、量的にたくさんの(あるいは高頻度の)セックスで人間らしい社会活動が行えなくなるということや、
種類としてアブノーマルなセックスに耽溺しすぎて、通常の性的刺激では興奮できなくなってしまうこともある。
量的にたくさんのセックスを求めてしまうのは、セックスが快楽であり、それ自体が嗜癖となるからである。また、依存性のパーソナリティを女性が持っていて、男性と性的なつながりが常にないと不安であるというケースもある。
アブノーマルに走るのは、報酬系のドーパミン分泌が現状に慣れてしまい、より多くのドーパミン分泌を求めるからである(耐性)。SMやスカトロ、フェティシズムなどの逸脱した行為を合意の上で行なっているケースなどがある。
セックスの頻度や種類には注意したい。
不特定多数とのセックスへの依存(人間関係依存)
セックスを複数の人としたいと思う人もいる。
そういう人は一人の相手と親密になるのが苦手な場合もあるし、多くの異性と性的関係を結んでいることが自信になると錯覚している場合もある。
不貞というのは、パートナーがいればその人に嘘をつくことになる。当然、自然な状態ではないし、いつかは破綻する。
独身で遊びまわっているというケースもあるだろうが、特定の相手を愛することでは満足できない心の穴があるのである。先述の通り、人間関係の問題や自己肯定感の問題を抱えていることが多い。
おわりに
性依存と一言で言っても、性犯罪のこともあるし、セックスの対象や内容が常軌を逸している場合もある。
合法・非合法という線引きもあるし、自分が困るかどうかという基準や、他人が困るかどうかという基準も存在する。
性の依存とおおざっぱに語る場合は、「継続可能かどうか」という視点で、性依存は見ていくとしっくりくるような印象がある。
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