渇望やスリップに関して。
夫が、渇望やスリップについて打ち明けたとき、
妻は、「正直に話してくれてありがとう」と言うしかない。これ一択といっても過言ではない。
打ち明け話に対してあなたが、「なんでそんなことしたの」と叱責することがあれば、もうあなたはサポーターではなくなる。
当事者からみたら、あなたは真実を話すことができない相手となる。
だから、当事者は嘘をつくようになる。
だいたい、こういう嘘から始まって、スリップが隠蔽され、連続した問題行動につながって、再発(リラプス)してしまう。
依存症の治療は、「やめたい自分」と「やりたい自分」のせめぎ合いの状態のまま、紆余曲折を経て、徐々に回復に近づいていく病気なので、
渇望やスリップという治療過程の一部分を叱責しても、百害あって一利なしだ。
「正直に話してくれてありがとう、どうしてそうなってしまったのだろうね」
「私にできることはないかな?」
そう、声掛けをしてあげて欲しい。
サポーターの方には、ぜひ、依存症者の”いいところ”を思い出して欲しい。
そして、温かい心、感謝の心を持ちながら、当事者と接して欲しい。
「治療を頑張ってくれてありがとう」
と伝えていけば、当事者は必ず回復する。
あなたに対して、良い自分を見せるために当事者は必ず奮起する。
見捨てないでいてくれたあなたのことを、当事者は一生忘れない。
スリップ・渇望、そういった邪悪な自分に悩み、罪悪感を抱え、自己嫌悪に陥りながらの回復なので、時には不安定になることもあるだろう。
しかし、必ず回復する。
私が見てきた中で、確実に言えることがある。
「悲しませたくない人がいる」
と言っている当事者は必ず回復している。
「愛」が依存症を治すと私は確信している。
(つづく)
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