今回は、依存症の診断において、趣味との境界線はどこなのかというところ、そして治療の目標はどこにあるのかについて解説していきます。
趣味と依存症の区別
この疑問は一番多いと思います。様々な参考書籍がありますが、まとめると下のようになります。
最近多いSNS依存でいうと、
「Twitterが常に気になって、寝る前に枕元で見てしまうものの、しばらくすると画面を消して眠ることができる」
という段階では趣味~依存症予備軍で済んでいます。
一方で「Twitterで食事や睡眠がおろそかになってしまっている、対人関係で問題が生じる」
というレベルまでくると依存症です。
依存症の治療目標は趣味のレベルに戻すことではなく、0(ゼロ)にすること
実際に依存症になってしまうと、「趣味や依存症予備軍のレベルに戻す」という治療方針にはなりません。完全に(依存対象を)絶たなければなりません。
アルコール依存でいうと最初の一杯はOKとはならず、死ぬまで禁酒が治療です。
なぜなら、最初の一杯で快楽物質であるドーパミンが出てしまうからです。飲酒を禁止していた期間があればなおさら、感作という現象があり、ドーパミンが大量に放出されます。そうするともっと酒が飲みたくなります。
また、一杯だけでしのごう、酒は適度に楽しんでいこうという方針も不可能です。耐性という現象があり、ドーパミンは同じ依存対象だけでは出が悪くなってきます。よってエスカレートしてしまいます。
最初の一杯から感作によりやめられなくしてしまい、耐性によりエスカレートすることになるのです。
参考文献:『よくわかる依存症』榎本稔 主婦の友社
依存症治療で有名な榎本稔先生の本です。この本はとても読みやすかったです。ページ構成・レイアウトがいいのでとても分かりやすいです。
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