依存症の治療は独特のものがあります。薬を飲むこともありますが、基本的には行動療法となります。この文章では行動療法について解説していきます。
ここまで来てしまうと無理
依存症の一つの側面として、ここまで来てしまうと無理(ほぼ絶対にスリップしてしまう)というのがあります。行動の一歩手前の状態です。渇望とも言います。そういう状態まで行ってしまうと、忍耐で対応するのは難しく、問題行動まっしぐらです。
アルコール依存ならジョッキにビールが注がれて目の前に置かれた状態とか、ギャンブル依存であれば競馬の入り口に立っているとき、痴漢の場合は満員電車に乗っていてターゲットとなりうる女性が目の前にいるときでしょうか。
各自でその「ここまで来てしまうと無理」という状況は違うと思いますが、依存症の方ならだれもがそういった局面・状況というのが存在します。
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リラプス・プリベンション(再発予防)
依存症の再発防止をするためには、この「ここまで来てしまうと無理」という状況を回避することが重要です。
アルコール依存症であればビールが提供されるような場所にいかない、ギャンブル依存であれば競馬場にいかないといったルールを作ります。
- 朝散歩をするときは財布(現金)をもっていかない
- 仕事から帰るときにパチンコ屋の前を通らない
- パチスロの雑誌や解説Youtube動画を見ない
- パチンコ友達と連絡をとらない
- 怒り、不安、孤独、寂しさ、退屈、疲労感を感じたらパチンコではなく診察に行く
慢性トリガー
ルールを破ってしまいたくなる前段階として慢性トリガーがあります。トリガーとは引き金という意味で、問題行動への欲求を駆り立てる刺激のことをいいます。
急性トリガーと慢性トリガーが存在しますが、本記事では慢性トリガーについて解説していきます。(急性トリガーに関しては下記をご覧ください)
慢性トリガーはいろいろな要素から成り立ちますが、
- 道具
- 人間関係
- 感情
- 時間帯
- 場所
と5つに分けて考えてみるのがいいそうです。
- 道具 :盗撮ならスマホ
- 人間関係:薬物依存であれば薬物売人
- 感情 :怒り、孤独感、退屈など
- 時間帯 :満員電車での痴漢であれば朝
- 場所 :パチンコであればパチンコ屋
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各自が自分の慢性トリガーを紙に書いてみるのをお勧めします。
ちなみに、私の慢性トリガーは別の記事で紹介しています。
そして、それらの要素が限定されていればされているほど依存症(問題行動)をコントロールしやすいです。
スマホのカメラが慢性トリガーなのであれば、スマホのカメラを壊したり紙やすりで傷つけたり、インクで塗りつぶせば効果絶大です。
朝の満員電車が慢性トリガーであれば、通勤時間をずらせばよいでしょう。
競馬の依存であれば、馬券売り場に近寄らなければよいです。
つまり、道具、時間帯、場所というのは限定されていますので避けることが簡単です。避けることで依存症(問題行動)を確実にコントロールできます。
- 道具
- 人間関係
- 感情
- 時間帯
- 場所
➡道具、時間帯、場所は避けることが簡単
しかし、寂しいときや人間関係のトラブルの際に問題行動がしたくなるのであれば、避けにくいのもあり対応が難しいです。
それらの対策は心理プログラムなどを受講して地道に積み上げていくしかありません。
皆さんも自分の慢性トリガーを紙に書いて、それが避けられるものか検討してみましょう!
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