ルール設定するときの認知
盗撮する人の治療の王道は、スマホのカメラを破壊するというものです。
破壊できた人の認知は、「スマホのカメラがあると自分は盗撮をしてしまう」という認知です。
もっとかみ砕いていえば、「カメラがあると自分をコントロールできない」という認知でしょうか。
一方で、「カメラがないと不便」ということでカメラを破壊しない人の認知は、「カメラがあっても自分をコントロールできる」という認知です。
こういう風に、ルール設定には必ず自分の認知が関係してきます。
「このままで大丈夫」「これはコントロールできる」という認知になることが多いと思います。人間は自分に甘いですからね。
そして、実際はギリギリのラインを攻めることになりますから(制限が厳しいと生活しにくいですから、最適な制限のラインというのは、過不足なく問題行動を防ぐことができるラインということになります)、スリップや渇望と向き合いながら制限のラインを微調整していきます。
盗撮の人で言えば、
①→②→③→④→…→⑪→⑫ みたいな感じで、制限のラインを微調整していくことが多いと思います。
①俺はまだ大丈夫、もう懲りたから盗撮しない、という状況(これは否認です)
②スリップする
③盗撮しないように、スマホのカメラにシールを貼る
④シールをはがしてスリップしてしまう
⑤○○駅のエスカレーターで盗撮をすることが多いので、○○駅に行かないようにする
⑥別の駅で盗撮をするようにする
⑦暇な時間を作らないように、スケジュールを決めて実行するようにする
⑧どうしても隙間時間ができて盗撮してしまう
⑨精神科通院以外家から外出しないようにする(買い物はAmazon、食事はウーバーイーツ)
⑩さすがに、外出しないという生活は厳しすぎて耐えられない
⑪スマホのカメラを壊して、外出はするようにする
⑫スリップしなくなった、渇望も減った
こんな風に、「自分は○○をコントロールできる」「このままで大丈夫」という自分への甘さと向き合いながら、またスリップなどの失敗を繰り返しながら、制限を微調整していくのが依存症治療の大切な部分だと思います。
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