『愛するということ』レビュー①

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人間の最も強い欲求は、孤立を克服すること

孤立こそがあらゆる不安・恐怖の源です。そして、人間の最も強い欲求は孤立を克服することです。

自己催眠的な恍惚

自己催眠的な恍惚(エクスタシー)とは、麻薬、アルコール、セックスなどがあります。強烈な刺激で外界は消え失せ、外界からの孤立感も消えますが、一時的なものです。アルコール中毒や麻薬の常用は罪悪感・良心の呵責があり、ますます孤独感が増えてしまうという欠点があります。それに比べてセックスはもともと人間に備わる正常な行為です。しかし、セックス以外の方法で孤独感を癒せない人の場合は、アルコール依存や麻薬の常用と同じく、罪悪感があるなかでセックスに耽溺することとなり、結果として孤独感は増すばかりです。

集団への同調

国家、会社、団体などへの同調をすることで一体感を得ます。得られる感情は強烈なものではなく、おだやかで惰性的です。強度が弱いという点で、孤立を癒すには不十分です。

創造的活動

古来より、人間は芸術にいそしんできました。芸術は、創作を行う人と創作対象が一体となる行為であり、孤独感を忘れさせてくれます。しかし、芸術の対象はあくまでモノであり、人間ではありません。

孤独の克服の究極の形です。一時的でもなく、弱くもなく、対象がモノでもありません。自分以外の人間と融合したいという、強くて恒久的であり、完全な孤独の克服方法です。

書評
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