ストア哲学の2つの特徴
コスモポリタニズム(世界市民主義)
一つ目の特徴が、コスモポリタニズム(世界市民主義)です。
これは、人間はポリス(都市国家)の市民ではなく、コスモポリテース(世界市民)であるとする考え方です。
現代的に言えば、他者を「同胞」「世界市民」としてみることで、互いの違いをみとめ、他者を尊重するということです。
また、「人間の善は共同体(koinonikos)である」という言葉が出てきます。これは、人間の幸せはつながりから生じるというメッセージです。
そして、この共同体は木の幹に例えられ、自分は木の枝に例えられるそうです。
つまり、逆に考えると、「人間は隣人(となりの枝)を憎み背を向けることで、自分で自分を隣人(となりの枝)から分離する。しかし、同時に共同体(木の幹)からも自分を切り離してしまうことになるのを知らない」と言うのです。
つまり、たった一人目の前にいる人に憎しみを持つだけでも、人とのつながりから自分を切り離してしまうことになり、幸福になることができません。
運命愛
二つ目の特徴が、運命愛です。
積極的に運命を受け止めよ、と書かれています。
どんな運命であれ、直視し、正面から両手で受け止め、そこから何かを学び取れということです。
起こることすべてを難儀なことに思えても喜んで受け入れよ(5・8)
自分に起こり織り込まれたもの(運命)を愛し、歓迎すること(3・13)
マルクス・アウレリウス『自省録』 2019年4月 (100分 de 名著)