『自省録』を読んで①

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幸福になるには自己の「内」をみつめよ

前章では、表象が理性に承認されて、認識に取り込まれると書きました。

では、どうすれば幸福になることができるのでしょうか?どうすれば不幸であることを避けられるのでしょうか?

この答が、「内省」です。

内省とは、理性を正しく働かせているか自問し、自分の「内」にある誤った判断から自由になり、「外」なる煩いから自由になることです。

自分は不幸だと思っている人は、その原因を「外」に求めがちです。自分が不幸なのは、「あの人が意地悪だから」「家族が協力してくれないから」「上司の理解がないから」と言うようにです。しかし、他人の心に何が起こっているかに注意を向けても、他人のことなので、基本的に分かりません。不幸である原因は、自分の心の動きを見つめられていないからなのです。つまり、幸福を求めているのに、幸福になれていないのは、理性が正しく働かせられず、謝った判断をしているという知的な誤りであることに気付けていないからなのです。

自分の心の動きに絶えず注意を向けない人が不幸であることは必然である。(2・8)

同上

自省録はとても興味深く、数回にわたって紹介したいと思います。