依存症は治るのか?

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私は「一生治らない」という考えになりました

私の場合は、今の状況を踏まえると、少なくとも「第1、第2の否認は解けた」と思っています。

以前と比べて一番違うところは、

「いつになったら治療はやめられるんだろう」

という考えから、

「性依存症は一生治らないし、再犯の危険があるから、治療は一生涯続く」

という考えになったことです。

一生治らないと気付いたら、次は何をすべきか

現在は、渇望もほとんどありませんし、急性トリガーに触れても自分で対処できます。

ただ、安心とは思っていなくて、「”お手入れ”が必要」と思っています。

包丁は定期的に研がなければいけないように、依存症治療は治った後も”手入れ”が必要だと思っています。

日常生活もありますから、”お手入れ”に全力を注いでたくさんの時間を割くことはできません。

しかし、”お手入れ”をおろそかにすると、依存症は必ず再発してしまうと思います。

依存症治療の”お手入れ”とは

依存症の治療の”お手入れ”とは、具体的に言えば次の2点だと思っています。

  • 精神科に定期的に通院する
  • 人生を楽しむ

精神科に定期的に通院する

精神科に通院すると、

  • ミーティング
  • 講義(認知行動療法)
  • 運動療法

などで精神を整えることができます。他人と議論したり、他人の話を聞いたりする時間はとても尊いものです。

日常生活では、「プライベートな事」はあまり人に聞けませんし、自分から話すこともありません。でも、そんな封印されたところに依存症の魔物は潜んでいるように感じています。

その魔物を上手にいなすために、精神科に行って「プライベートな事」をさらけ出したり、他人のプライベートな部分に触れることが必要だと感じています。

人生を楽しむ

「反省しろよ」というお叱りもあろうかと思いますが、後悔や反省ばかりしていてストレスが溜まり再犯してしまっては元も子もありません。

(被害者の方が聞いたら怒ってしまうかもしれませんが…)人生を楽しむことが、依存症を遠ざけると信じています。

人生を楽しみ、再犯しない人生にするのが、私たち性依存症当事者の責任なのだと思っています。

私は、彼女(婚約者)と定期的に旅行に行ったり、外食に行ったりしています。

友人とも定期的に集まって、食事をしたり、登山をしたりしています。

また、最近は仕事をするのが楽しいです。多くの人を喜ばせられる仕事(職業)なので、気合が入ります。

精神科にいって、悩みを相談されることも増えました。今の自分にできることは、話を聞いてあげることや、うなずくことだけです。けれども、辛いときに誰かが傍にいるということがどれだけ励みになるか私は知っています。傍にいるだけで、私も「役に立てているかもしれない」と温かい気持ちになることができます。

こうしていると、依存症の問題行動が入り込む隙間が狭くなっていくのです。

先日、主治医に言われた言葉が印象に残っています。

「〇〇さんは、問題行動を再びしてしまったときに、失うものが多くなりましたね」

そうです。失うものが多くなったんです。

今の生活がいいんです。

さいごに

「依存症は治らない」という言葉が独り歩きしていて、依存症治療のゴールが定まらないために不安を覚えている人も多いと思います。

どうせ治らないなら、支障のない範囲で問題行動(風俗とかパチンコとか犯罪にならない範囲のもの)を楽しもうという思考の人もいるようです。

しかし、私が今感じているように、第1、第2の否認を乗り越えて、依存症と向き合って生きていくと決心できるときが来ると思います。

お手入れ不要、メンテナンスフリーという意味での完治はありませんが、

「依存症と折り合いがついた」と実感できる日は必ず来ます。

そして、矛盾していますが、依存症と折り合いがついた人は、「まだまだ、治療が必要」「たまたまラッキーが重なってスリップしていないだけ」「いつ転げ落ちてもおかしくない」と自らの病状を批判的に捉えていると思います。

折り合いがついた人だけが、「依存症は治らない」と分かるのだと思います。

※私は「折り合いがついた」「もう治った」と誇示しているような文章になってしまったように感じています。私自身、毎日が戦いです。自分の感情や渇望、無意識と向き合い、戦い続けています。同じように依存症と戦う当事者の方や、依存症当事者と向き合うサポーターの方が少しでも希望を持てますようにという願いを込めて、ブログを書いています。皆さんに幸せが訪れますように。

コメント

  1. KK より:

    今回の記事も勉強になりました。
    慢心せず、しかし安らぎがある。
    そういう状態にたどり着けるよう、私も自らの依存症と向き合っていきたいと思います。

    • 性依存.com より:

      コメントありがとうございます。
      「慢心せず、しかし安らぎがある」という状態はとても素敵ですよね。
      そういう境地にお互い至れるように、依存症と向き合っていきたいですね。