大切な人の問題行動をやめさせる方法

スポンサーリンク

課題の分離とイネイブリング

依存症は先ほど書いた通り、やめたくないし、やめられない病気です。

未治療の依存症者はとくに厄介です。

そういった未治療の依存症者と接するときは、イネイブリングという罠に注意してほしいです。

イネイブリングにも色々な形態があるのですが、今回は性依存に特化したケースで紹介したいと思います。

とくに、課題の分離という知識や、相手のことはコントロールしようとしてはいけないという風に過剰に考えてしまっている人が陥りがちな罠だと思います。

課題の分離や、相手のことはコントロールしようしてはいけないというのは、相手が理性をもって物事に取り組める状態であることが前提です。課題の分離は相手の取った行動に相手が責任を負うというのが根本にある考え方です。

依存症のコントロール障害の状態では、相手は自分の人生にとってプラスとなる行動ができませんし、何がプラスかどうかもよくわからない状態です。そして、行動自体を制御することができなくなってしまっているので、行動を制限するために、強制的に対処(出会い系アプリを消す、浮気相手の連絡先を消す、盗撮で使ったカメラを捨てたり携帯のカメラを破壊する、満員電車乗らない)をする必要があります。

性依存の例を挙げますが、

  • 出会い系アプリ依存の人が、出会い系アプリを消せない
  • 浮気トラブルの人が、浮気相手の連絡先を消せない
  • 盗撮の人が、携帯のカメラを壊さない
  • 痴漢の人が、満員電車を避けない

こういった状況の時に、「どうしたら私は相手のことが信頼できるか」という思考は方向性がずれてしまっていると感じます。

その状況で相手を信頼してはいけません。

強制的な対処が完了するまでは、相手をコントロールするべきだと思います。一緒に出会い系アプリを消すとか、浮気相手の連絡先を消すとか、一緒に携帯のカメラを破壊するとか、満員電車に乗らないように自転車や車を用意するとか。

相手の意志力を信じたいとか、相手の言い分を信じたいという気持ちも分かります。逆切れや、「それなら死んでやる」という脅し文句が来ることもあるようです。しかし、相手の思い通りにしてしまったら、それはイネイブリングだと思うのです。相手は「まだ大丈夫」と思うでしょう。結局は彼の問題行動の尻ぬぐいをしてしまっているのです。

もちろん、相手は強制的な対処を嫌がるでしょう。そんなときに、「また逮捕されたいの?」「仕事失うよ?」「それなら私はあなたと別れるよ」という厳しい一言は必要だと思います。実際に、相手と一時的に距離をとる(同棲しているのであれば、実家に避難したり)のも有効だと思います。先に述べた通り、底つき状態というのが依存症治療のキーを握ると思っています。

治療にまじめに取り組み、相手も理性的に自分の問題行動を見つめられるようになってから、課題の分離をしたり、相手の行動を信じてあげるのがいいのだと思います。